建設現場の外国人に安全指示が伝わらない―事故を防ぐ日本語教育
最終更新日: 2026年8月28日
建設現場で安全指示が伝わらない主な原因は、現場特有の言葉づかいと、理解を確認する方法の2つにあります。
指示を「やさしい日本語」に言い換え、「わかりました」という返事に加えて復唱と行動で理解を確認することが、事故を防ぐ第一歩です。
そのうえで、現場で毎日使う日本語を継続的に学ぶ仕組みをつくると、日本語教育の導入で技能実習生の事故がなくなった建設会社の事例のように、安全面の改善につながります。
安全指示が「伝わらない」とは、指示の日本語が聞き取れない、意味がわからない、わかったつもりで違う行動をしてしまう、という3つの状態を指します。
この記事では、建設現場で技能実習生・特定技能などの外国人材(2027年4月からは育成就労)に安全指示が伝わらない原因と、今日からできる対策、事故を防ぐ日本語教育の進め方を解説します。
建設現場で外国人労働者に安全指示が伝わらない3つの原因

現場の言葉は、学習してきた日本語と違う
外国人材の多くは、教科書の日本語から学習を始めています。
一方、現場の指示には「養生」「番線」のような専門用語や、「アレ取って」「ちゃんとやって」のような省略した言い方が多く含まれます。騒音の中で聞き取る必要があることも、教室での日本語との大きな違いです。
学習してきた日本語と現場の日本語の間に差があるため、日本語能力試験に合格していても、安全指示が聞き取れないことが起こります。
「わかりました」が理解の確認にならない
外国人材は、指示がわからなくても「わかりました」と答えることがあります。
わからないと言うと迷惑をかける、評価が下がる、と考えるためです。
「わかりました」という返事だけで理解を確認すると、わかったつもりのまま作業が進み、事故や手戻りにつながります。
危ないと感じても言い出せない
危険に気づいたときに「危ないです」「止まってください」と言えるかどうかは、安全に直結します。
言い出すための日本語表現を知らない、言ってよいのかわからない、という2つの壁があると、危険への気づきが現場で共有されません。
実際に、外国人労働者の労働災害は全体と比べて高い水準にあります。
令和6年の外国人労働者の死傷年千人率は2.71で、労働者全体の2.35を上回っています。
また、建設業の死亡者数は232人で、全業種の中でも多い水準です。
(出典: 厚生労働省「令和6年の労働災害発生状況」)
今日からできる、伝わる安全指示の出し方
指示をやさしい日本語に言い換える
伝わりにくい言い方:足場の上は滑りやすいので十分注意してください
やさしい日本語:足場は すべります。ゆっくり 歩いて ください
伝わりにくい言い方:クレーンの旋回範囲内には立ち入らないでください
やさしい日本語:クレーンが 動きます。ここに 入らないで ください
伝わりにくい言い方:指示があるまでその場で待機していてください
やさしい日本語:ここで 待って ください。次の 仕事は あとで 言います
言い換えた表現を現場で統一すると、誰が指示を出しても同じ言葉で伝わるようになり、聞き間違いが減ります。
理解の確認は「復唱」と「行動」で行う
「わかりましたか」という質問に加えて、「今から何をしますか」と本人の言葉で説明してもらいます。
指示のあとに最初の動きを一緒に確認すると、わかったつもりのまま作業が進むことを防げます。
朝礼では、その日の危険ポイントを1つに絞り、短い言葉で繰り返し伝えることが有効です。
社内教育でできることと限界
やさしい日本語への言い換え、掲示物へのふりがな、日本人社員側の伝え方の工夫は、社内だけでも始められます。
一方、「聞き返せる力」「報告できる力」のような外国人材側の日本語力は、日々のOJTだけでは伸ばしきれないことが多くあります。社内でできる教え方と、その限界については、次の記事で詳しく解説しています。
日本語教育で事故がなくなった建設現場の事例
むすびばのオンライン日本語教室を導入した建設現場では、次のような変化が生まれています。
- 株式会社山﨑組では、インドネシア人技能実習生の事故が日本語教育によってなくなりました。
- 林ポンプクリート株式会社では、技能実習生の建設業でのトラブルが日本語教育によって減りました。
- 株式会社小黒組では、鉄筋施工現場で働く技能実習生の仕事が上達しました。
事例の詳細は、次のnote記事で紹介しています。
インドネシア人技能実習生の事故が日本語教育でなくなった事例(株式会社山﨑組)
鉄筋施工現場で働く技能実習生の仕事が上達した事例(株式会社小黒組)
2027年4月からは育成就労制度が始まります
技能実習制度に代わる育成就労制度は、2027年4月1日(令和9年4月1日)に施行されます。
就労開始前までに、日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)への合格、または認定日本語教育機関でのA1相当講習の100時間以上の受講が求められます。
特定技能1号への移行には、日本語能力試験N4等、A2相当以上の試験への合格が必要です。
受け入れ企業側の手続きも始まっており、育成就労計画の認定申請は2026年9月1日から施行日前に行えます。
(出典: 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」)
安全指示がわかる日本語力を入国前後の早い段階でつくることは、制度への対応と現場の安全の両方に役立ちます。
制度の全体像は、次の記事で解説しています。
育成就労制度の日本語能力要件(A1・N5相当)と企業がすべき準備はこちら
育成就労と技能実習の違い―日本語教育で企業が変えるべきことはこちら
むすびばは建設現場の日本語教育に対応できます
N4合格に加えて、技能実習制度と同様に育成就労でも受け入れ企業が求めていることは、入ってきた外国人材に現場で日本語が通じるかどうかです。
N5に合格していても朝礼の指示が聞き取れない、「わかりました」と答えたのに実は伝わっていない、危ないと感じても言い出せない、ということが現場では起こります。
むすびばのオンライン日本語教室がめざすのは、試験の点数だけではなく、現場で仕事が回る状態です。
少人数・会話中心のレッスンで、次の3つの力を鍛えます。
- 「工具を置いて、こっちに来てください」など、安全に関わる指示を聞いてすぐ動ける
- 「午前の作業、終わりました。次は何をしますか」と、報告・連絡が自分の言葉でできる
- わからないとき、「すみません、もう一度お願いします」と聞き返せる
そのうえで、制度の要件とも両立できる体制を整えています。
- 登録日本語教員が在籍しています。
- 就労開始前のA1相当・100時間講習に対応できる体制を整えています。
- 福岡での入国後講習に対応しています。
- 就労開始後も100時間の日本語教育を継続して行います
- 特定技能移行に向けたN4対策プログラムを実施しています。N5相当からN4合格までを見据えた3年間の育成に伴走できます。
建設に特化した日本語コースを業界で初めて開設しました。
介護・製造の現場でも、職場で毎日使う表現からレッスンを組み立てます。
料金は1コマ60分・1,000円で、入会金・教材費は無料です。
よくある質問
Q1.安全指示が伝わらないのは、外国人材の日本語力だけの問題ですか
日本語力に加えて、指示の出し方と理解の確認方法にも原因があります。
やさしい日本語への言い換えと、復唱による確認は、受け入れ企業側が今日から始められる対策です。
Q2.翻訳アプリがあれば日本語教育はいらなくなりますか
翻訳アプリは、掲示物の翻訳や複雑な説明の補助に有効です。
一方、騒音の中での声かけや、とっさの「危ない」のような場面では、その場で日本語が通じることが必要です。
翻訳アプリと日本語教育を組み合わせることで、現場の安全性が高まります。
Q3.日本語教育の効果はどのくらいで実感できますか
学習者の日本語レベルや学習頻度によって変わります。
職場で毎日使う表現からレッスンを組み立てると、挨拶・報告・聞き返しなど、現場で目に見える変化から先に現れやすくなります。
Q4.育成就労制度では、どの程度の日本語力が必要ですか
就労開始前までに、日本語能力A1相当以上の試験への合格、または認定日本語教育機関でのA1相当講習の100時間以上の受講が必要です。特定技能1号への移行時には、日本語能力試験N4等、A2相当以上の試験への合格が求められます。
(出典: 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」)
この記事を書いた会社
むすびば株式会社は、「人と人のいい関係性を築く」を理念に、外国人材向けのオンライン日本語教育を提供しています。建設・介護・製造業などの現場で働く外国人材に、少人数・会話中心のオンラインレッスン(1コマ60分・1,000円、入会金・教材費無料)を提供し、建設に特化した日本語コースを業界で初めて開設しました。
登録日本語教員が在籍し、福岡での入国後講習、就労開始前のA1相当・100時間講習、特定技能移行に向けたN4対策に対応しています。
建設現場の安全対策に使える資料をダウンロードできます
このページ下部の「資料ダウンロード」フォームから、むすびばのオンライン日本語教室の資料をダウンロードいただけます。
建設業の方は「建設業向けオンライン日本語教室」をお選びいただくと、現場に合った内容をご覧いただけます。
介護の方は「介護士向けオンライン日本語教室」、制度への対応をこれから検討される場合は「全職種向けオンライン日本語教室」または「入国後講習」をお選びください。
2週間の無料体験を行っておりますので、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。
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