外国人技能実習生が日本語ができない理由―企業ができる3つのこと
本文ここから
最終更新日: 2026年9月25日
この記事の結論
- 技能実習生が日本語ができない理由は、来日前の学習環境と、送り出し機関ごとの教育の差にあります。
- 受け入れ企業が現場でできることは、仕事中に日本語をメモしてもらう、簡単な日本語で話しかける、分からないときに質問してもらう、の3つです。
- 2027年4月からの育成就労では、開始時にA1相当(N5等)、特定技能1号への移行時にA2相当(N4等)が求められるため、配属後の日本語教育を受け入れ企業が計画する必要があります。
技能実習生が「日本語ができない」とは、挨拶や単語は分かるのに、現場の指示や確認のやりとりが成立しない状態のことです。 この状態は技能実習生・特定技能などの外国人材(2027年4月からは育成就労)に共通して起こります。
この記事では、日本語ができない理由を来日前の学習環境と送り出し機関の差から解説し、受け入れ企業が現場でできる3つのこと、短期間で上達させる方法、2027年4月からの育成就労で変わる要件をまとめます。
来日前の学習環境が技能実習生の日本語レベルに影響する
①来日前の授業で日本語を話す練習が少ない
送り出し機関の授業は、教科書の文法と語彙を教師が説明する形が中心です。 日本人と日本語で話す練習の時間は少なく、聞き取りと会話は入国後に初めて本格的に経験することになります。 授業がオンラインだけの場合はこの傾向がさらに強く、教師がオンラインでの教え方に慣れていないと、理解度と学習意欲が下がります。
②入国までの期間が空くと、覚えた日本語が抜けてしまう
送り出し機関で一通り日本語を学習してから入国までの期間が長いと、せっかく身につけた単語や文法が頭から抜け落ちてしまいます。 いつ入国できるか分からない状況では、技能実習生自身の日本語を学び続ける意欲も下がります。
入国後講習で会話の練習から立て直す必要があるのは、このためです。
入国後講習で日本語がどれくらい伸びるかは、入国後講習の期間で技能実習生の日本語はどれくらい伸びる?で解説しています。
技能実習生の中でも日本語ができる人・できない人の差が大きい理由
「他の会社の技能実習生と比べて、自分の会社の技能実習生は日本語が下手な人が多い気がする」と感じたことのある受け入れ企業は多いです。 技能実習生の日本語レベルの個人差は、次の2つから生まれます。
①送り出し機関の日本語教育レベルの差
送り出し機関によって、教育レベルは大きく違います。 在籍している教師の教育能力の差に加えて、送り出し機関の日本語教育に対する意欲のレベルもさまざまです。
提携している監理団体の日本語教育の方針や、監理団体と送り出し機関の連携がうまくいっているかどうかにも左右されます。 熱心な監理団体では、現場で使う工具一式を写真と現地語訳付きで単語帳にしたものを送り出し機関の授業で使用させるなど、実践的な教育に力を入れています。
技能実習生の入国時点の日本語レベルの目安は、技能実習生はどれくらいの日本語レベル?にまとめています。
②送り出し機関の教え方の問題
ほとんどの送り出し機関では『みんなの日本語』という教科書を使用して授業を行いますが、この教科書は日本に来る留学生向けの内容です。 留学生の生活で使う日本語と、技能実習生が現場で使う日本語はまったく違います。
送り出し機関に在籍する教師の一部は元技能実習生で、N4からN3レベルの日本語力にとどまり、日本語を教えるための研修も受けていません。 そのため、文法や発音を間違ったまま教えていたり、技能実習生からの質問に答えられなかったりという問題が起こります。
外国人技能実習生の日本語上達のために企業ができる3つのこと

①仕事中は技能実習生に日本語のメモをしてもらう
技能実習生が分からない言葉や初めて聞く単語に出会ったとき、発音と意味をメモして覚えるように伝えるのは効果的です。 たとえば「養生」なら、読み方の「ようじょう」と、「ぬのや シートで まもる」という意味をメモしてもらいます。
日本人でも、仕事で新しく出会った単語や新しい手順は、その場でメモしていないと忘れてしまいます。
「いちいちメモさせていたら作業スピードが落ちるのではないか」という心配はありますが、ひとつひとつ確実に日本語を覚えていくことで、長期的な仕事のスピードは上がります。
②技能実習生には簡単な日本語で話しかける
技能実習生には、なるべく簡単な日本語で話しかけてください。 理解できないときは簡単な日本語に言い換えたり、一文ずつ短く区切って指示したりする対応が重要です。
伝わりにくい言い方:破損する
やさしい日本語:こわれる
伝わりにくい言い方:接合する
やさしい日本語:つける
一文で多くのことを伝えると混乱するため、区切りながら確実に伝えます。
伝わりにくい言い方:この荷物を2階に運んで中身を出して箱をつぶしてください。
やさしい日本語:この にもつを 2かいに はこびます。なかみを だします。はこを つぶします。
言い換えの考え方は、外国人がわかりやすい日本語の伝え方とはで詳しく解説しています。
③技能実習生が分からないときは質問してもらう
もう1つ大切なことは、技能実習生が分かっていないときに「わかりません。教えてください」と質問してもらうことです。 技能実習生によくあることとして、分からないことでも「わかりました」と言ってしまう場面があります。
技能実習生が分かっていないと感じたら「わかりませんでいいよ」と伝え、分からないと言っても怒らないことが大事です。
「わかりました」のあとに確認する方法は、外国人材の「わかりました」―ミスを防ぐ現場の確認方法で具体的に解説しています。
短期間で外国人技能実習生の日本語を上達させる方法
仕事中のメモや簡単な言葉で話すなどの現場での工夫は大切です。 そのうえで、日本語の基礎的な力は、文法や単語をしっかり勉強することで身につきます。
一方で、技能実習生に仕事が終わって帰宅後に自分で勉強するように伝えても、続けるのは現実的に難しいです。
社内の日本人社員が教える方法と限界は、技能実習生への日本語の教え方―社内でできる3つの方法と限界にまとめています。 短期間で日本語力を上げる方法としておすすめなのが、講師と会話するオンライン日本語教育です。
2027年4月からの育成就労で変わる日本語の要件
技能実習制度と同様に、育成就労でも受け入れ企業が日本語教育を担います。 違いは、日本語能力が段階ごとに要件になることです。
- 育成就労の開始時: A1相当以上の試験(N5等)の合格、または認定日本語教育機関等で相当する日本語講習(100時間以上)を受講します。
- 特定技能1号への移行時: A2相当以上の試験(N4等)の合格に加えて、技能検定3級等または特定技能1号評価試験の合格が必要です。
- 特定技能2号への移行時: B1相当以上の試験(N3等)の合格が必要です。
受け入れ企業(育成就労実施者)または監理支援機関が、費用の負担を含め日本語能力向上のために必要な措置を取ることになります。 技能実習は最長5年のため、いま在籍している技能実習生は2030年前後まで現場に残ります。 「日本語ができない」を放置しない仕組みは、技能実習生と育成就労の外国人材の両方に必要です。
(出典: 出入国在留管理庁 育成就労制度Q&A / 厚生労働省 育成就労制度の概要)
要件の全体は育成就労制度の日本語能力要件とは?A1相当の中身と企業がすべき準備、
企業側の課題は外国人材の日本語教育―企業の課題と2027年からの変化にまとめています。
むすびばのオンライン日本語教室でできること
N4合格に加えて、技能実習制度と同様に育成就労でも受け入れ企業が求めていることは、入ってきた外国人材に現場で日本語が通じるかどうかです。 むすびばが目指すのは、点数だけではなく現場で仕事が回る状態です。
実際に技能実習の現場で行われる会話を想定して作ったオリジナル教材を使い、語彙や文法も建設・農業・介護・製造などの業界に合わせて厳選しています。 講師や他の受講者との会話中心の授業なので、授業で日本語を話すことに自信がつくと、仕事でも日本人社員に話しかけたり質問したりできるようになる技能実習生が多いです。
そのために、次の3つの力を鍛えます。
- 聞く力: 「その資材、3階に上げといて」を一度で聞き取る力
- 確認する力: 「3階に、この資材を全部ですか?」と聞き返す力
- 報告する力: 「3階に上げました。あと2つ残っています」と伝える力
そのうえで、制度の要件とも両立できる体制を整えています。
- 登録日本語教員が在籍しています。
- 就労開始前のA1相当・100時間講習に対応できる体制があります。
- 福岡での入国後講習に対応しています。
- 就労開始後も100時間の日本語教育を継続して行います。
- 特定技能移行に向けたN4対策プログラムを実施しており、N5相当からN4合格までの3年間を伴走できます。
建設に特化した日本語コースを業界で初めて開設しました。
介護・製造の現場でも、職場で毎日使う表現からレッスンを組み立てます。
料金は1コマ60分・1,000円、入会金・教材費は無料です。
よくある質問
Q1. 日本語ができないのは本人のやる気の問題ではありませんか?
来日前の学習環境と送り出し機関の教え方の差が大きく影響しています。 現場で日本語を使う機会と学ぶ仕組みを受け入れ企業が用意すると、自分から話しかけるようになった事例が複数あります。
Q2. 送り出し機関を選ぶときに日本語教育で確認することはありますか?
教師の資格や研修の有無、現場の言葉を扱う教材があるか、監理団体と教育方針を共有しているかの3点です。 入国時点の日本語レベルは送り出し機関によって差が大きいため、契約前に確認しておくと後が楽です。
Q3. 2027年からの育成就労では、日本語ができないまま受け入れることはできなくなりますか?
育成就労の開始時にA1相当以上の試験の合格、または相当する日本語講習(100時間以上)の受講が必要になります。 就労開始後も、特定技能1号への移行時にA2相当(N4等)の合格が求められるため、配属後の日本語教育を計画する必要があります。
この記事を書いた会社
むすびば株式会社は、外国人材と受け入れ企業の「人と人のいい関係性」を日本語教育で築くことを理念に、福岡から全国の企業にオンライン日本語教育を提供しています。
建設・介護・製造業などの技能実習生・特定技能の外国人材を対象に、少人数・会話中心のオンラインレッスンを1コマ60分・1,000円(入会金・教材費は無料)で行っています。
登録日本語教員が在籍し、福岡での入国後講習、就労開始前のA1相当・100時間講習、就労開始後の100時間の日本語教育、特定技能移行に向けたN4対策まで対応しています。
現場の日本語教育を始めるための資料をダウンロードできます
このページの下にある「資料ダウンロード」から、レッスンの内容と料金をまとめたパンフレットをダウンロードできます。 複数の業種で受け入れている場合は「全職種向け」を選んでください。
建設業の現場なら「建設業向け」、介護施設なら「介護士向け」、配属前の講習を検討している場合は「入国後講習」を選んでください。
2週間の無料体験を行っておりますので、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。
資料ダウンロード
プログラムの特長や、カリキュラムの内容が記載されたパンフレットを無料でダウンロードいただけます。



